悪臭防止法について Outline
- TOP >
- 悪臭防止法について
悪臭防止法について
ニオイには
「悪臭防止法」に準じた対策を
こちらでは、脱臭技術の総合コンサルタント「エスポ化学株式会社」が、悪臭防止法による規制基準や特定物質など、事業者として対策が必要な法規制に準じて詳しくご紹介します。
「悪臭」とは、人が感じる「嫌なニオイ」や「不快な臭気」を総じて表した言葉。人によって”臭い”と感じる基準は異なりますが、悪臭と判断されるニオイは悪臭防止法によって明確に定義されています。
規制基準「悪臭規制法」とは?
悪臭は「悪臭防止法」によって規制基準が設けられています。これは、規制地域内で行う事業活動によって悪臭を発生させている工場などに対し、周りの住民の生活環境を保全することを目的に設けられている法律。法規制を行うことで、事業者が悪臭防止対策を推進させるのが目的です。
規制地域とは
「規制地域」は、各都道府県の知事や市長など、自治体の長が指定した地域のこと。住民の生活環境を保全するために悪臭を防止する必要があると認め、主に住宅が集合している地域が含まれます。指定地域として定められた場合、すべての工場や事業場が規制の対象となります。
規制基準とは
規制地域にある工場や事業場には、各自治体が定めた規制基準の遵守が義務付けられています。規制基準の測定に関し、各自治体によって選択された下記のいずれかの規制手法に従って遵守する必要があります。
1. 特定悪臭物質(22物質)の濃度
2. 臭気指数(嗅覚を用いた測定法による基準)
そして、下記3つの規制基準が設定されています。
1. 敷地境界線の規制基準(1号基準)
2. 気体排出出口の規制基準(2号基準)
3. 排出水の規制基準(3号基準)
行政指導・罰則
悪臭を発生させてしまったことが発覚したら、事業者には「報告義務」が生じ、策を施すことが求められます。これを怠ると、報告徴収及び立入検査が実施され、自治体の長から改善勧告や改善命令が出されることも。そしてその後も解決しなかった場合には、罰則として懲役または罰金が科されてしまうのです。
また、地域住民からの悪臭苦情が寄せられた場合にも、自治体による立ち入り検査や報告が求められる場合もあります。さらに裁判にまで発展した場合、和解をするにしても多大な費用がかかってしまうのです。
臭気濃度(臭気指数)とは
臭気濃度(臭気のある空気を臭いの感じられなくなるまで希釈した場合の当該希釈倍数をいい、三点比較式臭袋法により求める)の常用対数値に 10 を乗じた数値(臭気指数=10×log 臭気濃度)。
つまり、ある臭気を無臭の空気で薄め、においが感じられなくなった時点での希釈倍率のことを指します。例えば1,000倍に薄めた時ににおいが感じられなくなった場合、その臭気の臭気濃度は“1,000”。(平成7年9月『環境庁告示第63号』として公式測定方法となる)
三点比較式臭袋法とは
臭気指数(臭気濃度)を算出するため実験です。分析の世界では「測定」と呼ばれます。現場で臭気専用のポリエステルバッグに採取してきた臭気(原臭)を、活性炭で濾過した無臭空気を詰めた3リットル容積の希釈用バッグ(臭い袋)に注射器で少量注入します。
臭い袋の中で正確に希釈した臭気を作り、他の無臭空気だけのバッグと嗅ぎ比べて、どれが臭気が混ざったものであるか判別できなくなるまで実験を行います。この時「まぐれあたり」を防ぐために無臭の空気だけのバッグ2個と希釈した臭気が入ったバッグ1個、計3個のバッグを嗅ぎ比べるために「三点比較式」と呼ばれます。
特定悪臭物質(22物質)
悪臭防止法で定められている22物質の「特定悪臭物質」についてご紹介します。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
物質名 | 規制基準の設定 | ニオイの特徴 | 主要発生事業場 | ||
---|---|---|---|---|---|
第1号 | 第2号 | 第3号 | |||
アンモニア | ○ | ○ | し尿臭 | 畜産事業場、ゴミ処理場、し尿処理場、下水処理場 | |
メチルメルカプタン | ○ | ○ | 腐った玉ねぎ臭 | パルプ製造業、ゴミ処理場、化製場、し尿処理場、下水処理場 | |
硫化水素 | ○ | ○ | ○ | 腐った卵臭 | 畜産農場、パルプ製造業、し尿処理場、ゴミ処理場、下水処理場 |
硫化メチル | ○ | ○ | 腐ったキャベツ臭 | パルプ製造業、化製場、ゴミ処理場、し尿処理場、下水処理場 | |
二硫化メチル | ○ | ○ | |||
トリメチルアミン | ○ | ○ | 腐った魚臭 | 畜産農場、肥料製造業、アセトアルデヒド製造工場、化製場、酢酸製造工場、タバコ製造工場 | |
アセトアルデヒド | ○ | 刺激的な青ぐさい臭い | |||
プロピオンアルデヒド | ○ | ○ | 刺激的な甘酸っぱい焦げた臭い | 塗装工場、金属製品製造工場、自動車修理工場、印刷工場、魚腸骨処理場、油脂系食品製造工場、輸送機械器具製造工場 | |
ノルマルブチルアルデヒド | ○ | ○ | |||
イソブチルアルデヒド | ○ | ○ | |||
ノルマルバレルアルデヒド | ○ | ○ | むせるような酸っぱい焦げた臭い | ||
イソバレルアルデヒド | ○ | ○ | |||
イソブタノール | ○ | ○ | 刺激的な発酵臭 | 塗装工場、金属製品製造工場、自動車修理工場、木工工場、繊維工場、機械製造工場、印刷工場、輸送用機会器具製造工場、鋳物工場 | |
酢酸エチル | ○ | ○ | 刺激的なシンナー臭 | ||
メチルイソブチルケトン | ○ | ○ | |||
トルエン | ○ | ○ | ガソリン臭 | ||
スチレン | ○ | 都市ガス臭 | スチレン製造工場、ポリスチレン製造工場、ポリスチレン加工工場、SBR製造工場、FRP製品製造工場、化粧合板製造工場 | ||
キシレン | ○ | ○ | ガソリン臭 | ||
プロピオン酸 | ○ | 刺激的な酸っぱい臭い | 脂肪酸製造工場、染色工場、酪農事業場、稼いば、でん粉製造工場 | ||
ノルマル酪酸 | ○ | 汗臭い臭い | 畜産事業場、鶏糞乾燥葉、化製場、魚腸骨処理場、畜産食料品製造工場、でん粉製造工場、し尿処理場、廃棄物処理場 | ||
ノルマル吉草酸 | ○ | 蒸れた靴下臭 | |||
イソ吉草酸 | ○ | 蒸れた靴下臭 |
参考例:東京都 環境確保条例における
工場・指定作業場の悪臭の許容限度
適用地域:都内全域(島しょを含む)
適用範囲:法指定地域内は事前審査時。法指定地域外(主に島しょ地域)は、事前審査時と苦情発生時。
許容限度
※表は左右にスクロールして確認することができます。
規制基準の区分/区域の区分 | 第一種区域 | 第二種区域 | 第三種区域 | ||
---|---|---|---|---|---|
敷地境界線 | 臭気指数 10 | 臭気指数 12 | 臭気指数 13 | ||
煙突等気体排出口 | 排出口の実高さ15m 未満の施設 |
排出口の口径 0.6m未満 |
臭気指数 31 | 臭気指数 33 | 臭気指数 35 |
排出口の口径 0.6m以上0.9m未満 |
臭気指数 25 | 臭気指数 27 | 臭気指数 30 | ||
排出口の口径 0.9m以上 |
臭気指数 22 | 臭気指数 24 | 臭気指数 27 | ||
排出口の実高さ15m以上の施設 | 排出口の実高さが周辺最大建物の高さの2.5倍未満 | qt=275×H0² | qt=436×H0² | qt=549×H0² | |
排出口実高さが周辺最大建物の高さの2.5倍以上 | qt=357/Fmax | qt=566/Fmax | qt=712/Fmax | ||
排出水 | 臭気指数 26 | 臭気指数 28 | 臭気指数 29 | ||
(備考)地域区分詳細 | 第一種低層住居専用地域、 第二種低層住居専用地域、 第一種中高層住居専用地域、 第二種中高層住居専用地域、 第一種住居地域、 第二種住居地域及び準住居 地域、 無指定地域(第二種区域及び 第三種区域に該当する区域 を除く) | 近隣商業地域、商業地域、準工業地域、これらの地域に接する地先及び水面 | 工業地域、 工業専用地域、 これらの地域に接する 地先及び水面 |
- qt=臭気濃度×乾き排出ガス量(m³N/min)
- HOは、排出口の実高さ(単位 m)を表す。
- Fmax は、単位臭気排出強度に対する地上臭気濃度の敷地外における最大値(単位 s/m³N)で、悪臭防止法施行規則 第 6 条の 2 第 1 号に規定する方法により算出された値を示す。
- 周辺最大建物は、対象となる事業場の敷地内で排出口から当該建物の高さの 10 倍の距離以内に存在するもののうち、 高さが最大のものをいう。
- 排出口の口径は排出口の開口部の口径を表す。排出口の形状が円形以外の場合の口径は、その断面積と等しい円形の直径とする。
(引用:東京都 悪臭防止法・環境確保条例による規制 規制基準 条例許容限度 より)
参考例:大阪市 悪臭防止法に基づく
規制の概要
法・指導要網別 | 悪臭防止法 | |
---|---|---|
規制対象地域 | 大阪市内全域 | |
規制手法 | 臭気指数 | |
測定方法 | 嗅覚測定法(三点比較式臭袋法及び三点比較式フラスコ法) | |
規制基準 | 敷地境界線境界線(第1号) | 臭気指数「10」 |
気体排出口 (第2号) |
第1号規制基準をもとに臭気の拡散状況を勘案して、地表上での最大着地濃度が第1号規制基準(敷地境界線基準)を超えないこと [排出口高さ15m以上]
[排出口高さ15m未満]
|
|
排出水(第3号) | 臭気指数「26」 |
(引用:大阪市 悪性防止に関する規制より)
エスポ化学では自社内に開発研究所を併設しているため、テーブルテストによる臭気判定だけでなく、実際にダクト試験機を組んでシミュレーションを行うことなども可能です。お客様が今お悩みの悪臭を素早く特定し、経験豊富な営業開発スタッフが適切な対応策を提示いたします。
悪臭が発生する前に対策を施すことで、快適な企業生産活動ができるほか、周辺住民との良好な関係を築くことにもつながります。また企業価値が高まるためイメージアップのPRにも有効です。エスポ化学に、ぜひそのお手伝いをさせてください。