主要脱臭技術とその特徴 Technology
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主要脱臭技術とその特徴
主要脱臭技術の特徴と
メリット・デメリット
こちらでは、脱臭技術の総合コンサルタント「エスポ化学株式会社」が、脱臭技術の分類や特徴、メリット・デメリットについてご紹介します。
悪臭対策を行うにあたり、すべての悪臭に有効な脱臭技術は存在しません。発生する臭気の種類や濃度、設置方法などを総合的に判断し、それに適した脱臭方法や装置の選定をする必要があります。
脱臭には大きく3つの方法が取られており、処理に適する手段が異なります。
1. 臭気物質を取り除くことで、臭いを除去もしくは弱める方法
2. 臭気物質を分解することで、無臭あるいは臭気の弱い物質に変化させる方法
3. 他の物質を使い、臭気物質の臭いを覆い隠す方法
脱臭技術
ここでは、「物理・化学的方法」「換気・希釈法」「生物脱臭法」「酸素クラスター法」「消臭・脱臭剤法」の5種類の脱臭技術について解説します。
物理・化学的方法
物理・化学的方法には、以下の6種類があります。
燃焼法
臭気成分を高温で処理し、酸化分解をする方法です。直接燃焼法(650~800℃)、蓄熱式燃焼法(直接燃焼:800~1000℃、触媒燃焼:200~400℃)、触媒燃焼法(150~350℃)などの種類があります。
メリット | 高濃度の臭気に対応可能。ほとんどの臭気物質に適用可能。燃焼設備がある場合は、排熱利用として設置が可能。 |
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デメリット | 維持費や建設費が高額。NOxの発生や触媒毒性物質除去の前処理が必要となる場合がある。設備費や燃料費などのコストも高い。 |
吸収(洗浄)法
水洗浄と薬液洗浄(酸・アルカリ・酸化剤)に吸収させて中和・酸化分解する方法があります。脱臭処理の前処理として用いる場合も。中性悪臭成分には脱臭効果が低いです。
メリット | 装置が簡単で設備費、ランニングコストが比較的安い。ミストやダストも除去できる。臭気成分が特定できれば有効な脱臭が行える。ダスト・ミスト・フォームも同時に処理することができ、ガスの冷却効果もある。 |
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デメリット | 多量の水や廃水処理が必要。薬液の調整や補充、pH調整などの維持管理が必要。薬品の管理には万全の安全対策を行い、施設管理者による装置の専門的な日常管理も必要となる。 |
吸着法
臭気を活性炭にある微細な孔に吸着させて脱臭する方法。活性炭の種類も豊富にあり、使い勝手が良いです。活性炭の処理方法として、回収(固定床、流動床)や濃縮(ハニカム式)、交換(固定床)といった種類があります。近年では、臭気物質に合わせて薬品加工を施し、化学反応吸着との相乗効果によって吸着力を高めた添着活性炭を使用したものが主流です。
メリット | かんたんな処置でほとんどの臭気物質に適用可能。実績・信頼性が高い。 |
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デメリット | 吸着剤の交換に手間がかかる。装置の圧力損出が高い。初期費用は平均的だが、吸着剤交換費などのランニングコストが比較的高い。 |
凝集法
メリット | 臭気物質を完全処理し、施設外に一切排出させないようにできる。 |
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デメリット | 設備費・運転費などのコストがかさむ。 |
促進酸化法
促進酸化法は、光触媒(酸化チタン光触媒に紫外線を照射し、生成するOHラジカルを用いる)、オゾン(オゾンと臭気を混合し、脱臭触媒塔に供給して触媒上で酸化分解させる)、プラズマ(排ガス中で高周波放電を行い、ラジカルやオゾンなどを発生させ、その酸化力で臭気を分解させる)といった3種類の方法を用いた臭気分解方法を指します。
メリット | 希薄な濃度の臭気の処理に高い効果がある。運転操作が容易。薬品などを使用しないため、環境負荷が小さい。 |
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デメリット | 脱臭物質により、併設する設備など、ケースに応じた対処が必要。前処理など別途消臭処理が必要になる場合がある。 |
膜分離法
分子の大きさや形状の差による膜の透過速度の違いにより、臭気成分を分離します。膜の材質によっても透過性は変化します。
メリット | 比較的臭気濃度が高い場合に適する。モジュールを使うと装置がコンパクトになる。 |
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デメリット | 膜のコストがかかる。定期的なメンテナンス(膜の薬液洗浄や交換)が必要。 |
換気・希釈法
大量の無臭空気に希釈して、窓や煙突、排気口などから自然換気または機械換気によって排出する方法です。悪臭防止法などの法規規制を満たし、近隣住民などから苦情が出ないように配慮する必要があります。
メリット | あらゆる臭気に対応できる。設備費用やランニングコストが安い。 |
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デメリット | 臭気が微量または低濃度のものに限られる。大量の新鮮空気が必要。 |
生物脱臭法
自然の摂理に従った脱臭方法で、今後新たな微生物が発見されることにより飛躍的な技術革新が見込まれます。湿温度・PH・栄養分など微生物の生育条件を常に満たすシステム管理が必要なため、イニシャルコストが高くなります。生物脱臭法には以下の5種類があります。
土壌脱臭法
微生物の生態系物質循環作用を利用して分解脱臭する方法です。臭気を土壌中に通気すると、吸着・吸収された臭気成分が土壌微生物により分解。低・中濃度の臭気処理に適しています。
メリット | ランニングコストが安い。維持管理は比較的容易。 |
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デメリット | 広い敷地面積が必要。土壌の通気性の維持が必要。 |
バイオフィルター法・
バイオトリックリングフィルター法
微生物の生態系物質循環作用を利用して分解脱臭する方法です。微生物が付着した担体を充填した装置に臭気ガスを供給し、微生物により分解します。
メリット | 中・高濃度臭気の処理に適している。ランニングコストが安い、維持管理は比較的容易。 |
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デメリット | 充填担体の水分量調整のため散水が必要。 |
バイオスクラバー法
微生物の生態系物質循環作用を利用して分解脱臭する方法です。スクラバー方式の洗浄液として活性汚泥液を用いて、臭気成分を生物分解させます。
メリット | 活性汚泥廃水処理の余剰汚泥を入手できる場合にはメリットが高い。装置のコンパクト化が可能。 |
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デメリット | 無機栄養源や空気の供給、汚泥の引き抜き・補給が必要になる場合がある。 |
活性汚泥バイオリアクタ法
微生物の生態系物質循環作用を利用して分解脱臭する方法。活性汚泥廃水処理の曝気槽に臭気ガスを吹き込み、周期成分を溶解させて汚泥中の微生物により分解します。
メリット | 活性汚泥廃水処理施設のある工場では、排水処理とともに脱臭にも併用できて、設備が安い。排水処理に対する影響は少ない。 |
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デメリット | 送入ガス流量が限定される。 |
膜バイオリアクタ法
微生物の生態系物質循環作用を利用して分解脱臭する方法。膜による分離と微生物による分解を組み合わせ脱臭します。
メリット | ガス相液相が膜により分けられているので、運転と制御がしやすい。膜により選択的に臭気成分が処理できる |
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デメリット | 実績がまだ少ない。 |
酸素クラスター法
放電により空気中の酸素をイオン化し、酸素クラスターが臭気成分を包み込んで悪臭成分をイオン分解する方法です。+イオンと-イオンの集合体である酸素クラスターは人に対して無害のため、人体への影響が危惧されるオゾンに替わる脱臭方法として注目を集めています。
メリット | 設置スペースをほとんどとらない。空気中の酸素が原材料のため、管理が容易。生態系に悪影響を及ぼさない。設備費用やランニングコストが安い。 |
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デメリット | 高濃度濃度の臭気は効果が低い。設備のメンテナンスが必要。 |
消臭・脱臭剤法
消臭・脱臭剤法には以下の2種類があります。
マスキング法
消臭・脱臭剤を臭気に噴霧し、感覚的に臭気を和らげる方法です。
メリット | 装置が簡単で経費も安い。濃度が薄い臭気に有効。 |
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デメリット | 効果が一時的。 |
中和法
臭気を希釈し、不快と感じられないレベルまで低下させる方法です。
メリット | 小発生源で低濃度臭気の処理に適している。メンテナンスが容易で設備費が安い。 |
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デメリット | 煙突による拡散の場合、周辺の住居の立地条件の考慮が必要。 |